NO GOOD PEOPLES

仕事が出来ない

杉山悠さんの猫のうつわ

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ぴこっと尖がった耳に、座っている時の愛らしい前足。丸くなって寝ているのに、名前を呼ぶとめんどくさそうに動かす尻尾。猫のどこがいいのかという話をすると概念としての猫から具体的な猫のでディテールに至るまで話し尽くさなくてはいけない。だがそんな事は困難だ。時間は有限で、僕に残された時間は大体あと30年くらい。時間が足りない。語り尽くせない。今思いましたが、あと30回夏を迎えると私死ぬんですね。悲しすぎるし怖すぎる。時間がすぎるの早すぎるし、絶対宇宙には行きたいけれど全然金がNASAすぎる。危NICE。

猫の可愛い部分の話。可愛いと可愛いを組み合わせて出来たのが猫だけれど、光を浴びてきらきらひかる目が特に素敵だ。うちの猫は1匹が黒猫なので、真っ黒の顔に緑色の目がきらきらと窓の光を反射して輝いているのを見ると、時間を経つのも忘れて見つめてしまう。メラニン色素のバランス、瞳孔の開き、光の強さ、様々な要因によってその瞬間のみに現れる美しい猫の目。覗き込んだ時に見える複雑な模様に、奥行のある色の重なり。杉山悠さんの器もこの猫の目に通じる。

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西東京の羊と山羊で杉山さんの鉢を友人のプレゼント用に買ったのをきっかけに、杉山さんの鉢の美しさに惹かれる。笠間の火祭で、猫用のウォーターボウル2つと、フードボウル2つを購入した。私は陶芸などの焼物に詳しくないので分からないけれど、複雑な釉薬の組み合わせによって出来たであろう器表面の模様が水を入れるとさらに映える。猫の目の様に思える。横から覗くと全く違う2つの模様。左側は儚い夢のようで素敵だし、右側はファットラヴァのように民藝を感じることが出来る。猫の目線はこの目線だから、いつもこういう風に見えているのだろうな。猫は視力が悪いらしいけど、このうつわの美しさが猫にも見えていればいいなと思う。

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こっちはフードボウル。ウォーターボウルと合わせて、模様を選んだ。ウォーターボウルは上のお皿部分を丸くして、フードボウルはスクエアなタイプにした。見た目の美しさだけではなく、実際に猫を飼われている作家さんなので、猫たちも使いやすそうに毎日ご飯をたべている。

出来れば部屋には自分が好きなものしか置きたくない。一歩家からでれば、嫌なことが楽しい事と同じくらいあるこの社会で、家の中だけは嫌なものを置きたくない。猫のうつわは長年の課題で、自分の気に入るもの、猫が使いやすいもの等々の判断基準が多すぎて最適解がなかなか見つからなかった。やっと見つけた杉山遥さんの器。ねこの器いがいにも、オーバル皿や湯呑を使っているけれど本当に最高。ちょっとしたプレゼントにも最適だし、悪いところが見当たらない。こういう穏やかそうなデザインを平気でやる人が本当は一番ヤバいって知ってる。

Haruka Sugiyama

hitsujitoyagi