NO GOOD PEOPLES

仕事が出来ない

私は忍者で彼は自由だった

中野駅で私の前の席に座っていた人が降りていったので、私は忍者のように、力を抜いて音もなく半回転をして、するりと誰にも気付かれないようにその席に座った。隣に座っていた女性は膝の上ラップトップパソコンでグラフを作って、それを誰かにメールで送っていた。有線接続されたマウスを狭いスペースで器用に操って、ポインタは画面所を縦横無尽に走り回っていて、ほとんど満員のこの電車の誰よりもポインタは自由だった。