NO GOOD PEOPLES

仕事が出来ない

マッチングアプリ

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友人と車に乗って遠いいところまで行った時、帰りの高速道路で大体渋滞に捕まる。週末の夕方はみんな東京に車で帰るのだ。ずっと意味のないことを話しているのだけれど、いよいよ会話にも飽きてくると僕たちはマッチングアプリをダウンロードする。渋滞によって閉じ込められた僕のGPS上の座標は、もう二度と接点を持たない誰かとマッチする。もう一生出会わないけど、ここにも誰かがいて、誰かを求めているというのが心地よい。

マッチングアプリでメッセージのやりとりをしても、その後どうにかなるとかは全然なくて、お互いにメッセージの内容を忘れて存在を忘れていく。ただひとりだけなんとなくメッセージが続いている女性がいる。好きな本を聞かれて僕が答えると、その本を読んでなんとなく雑な感想を聞かせてくれる。こんな穏やかなマッチングアプリのメッセージがあるのだろうか。春のサバンナで動物がみんなで清潔なタオルケットに包まって昼寝をしているように穏やかなメッセージ。お互いに好きなものを送りつけて、お互いに消費して感想を送るというやりとり。時々これってもしかしてこの世の全てのマッチングアプリのメッセージの中でもっとも私的でエロティックなのかもしれないなと思う。そういうやりとりをしている。マッチアプリ意外に懐が深い。