NO GOOD PEOPLES

仕事が出来ない

3行くらいで、簡潔に

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小説を読んでいる。意図的に読むようにしている。毎日の生活の中に小説を読んでいるという軸があると豊かな気持ちになる。先ずは読書をしている。そしてその上から隙間に仕事ややらないといけない事を入れ込んでいく。あくまでも感覚の話であって、実際は平日の大部分を仕事という神聖な神へ、自分の時間を生贄として捧げている。ただ別のものが軸であれば私たちは誰にも支配されない存在になれる。そう思っている。

「鳥がぼくらは、祈り」が文庫化されたので買って読んだ。とにかく凄くて、現実を輪切りにしてそれを様々な角度から眺めて説明している。全ての瞬間を輪切りにして説明して、その一瞬後を輪切りにしてまた様々な角度から丁寧に説明をする。感動した。何かを思い出した気がした。

ベッドに横になり枕を3つ積み重ねたものに上半身を預けて、クーラーの効いた部屋で読み終わってしまった。自分がいいなと思ったものを誰かに勧めたい気持ちもあるけれど、近しい人には教えたくない気持ちもある。気持ちは無限に細かくて沢山ある。一つの気持ちだけで一つの感情を作るわけじゃない。好きとか嫌いとか、いい匂いとかちょっといい匂いとか、そういうものが無限に沢山あつまって一つの大好きになる。

こういう時に話が出来る人がいるといい。私には1年前にtinderでマッチしてお互いに読んだ本の感想を送り合うだけの人がいる。3行くらいで、簡潔に良かった所をタイプして送る。時々私は寂しい人間なのかもしれないと思うけれど、このくらいで丁度良いのだ。

『鳥がぼくらは祈り、』(島口 大樹)|講談社BOOK倶楽部